熊本県阿蘇市
平原古墳群6号墳発掘調査
(2012年度)

徒 然 な る ま ま に


2012年9月15日(土) 第28日目

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 最終日。

 昨夜の雨が嘘のように青空の1日。
 上左写真は日が昇る直前の東の空、右は朝を迎えようとする宿舎−山田地区公民館。
 ここでおよそ1ヶ月間、学生と寝食を共にしました。

 朝はいつもと同じ7時に朝食。洗い物の必要がないおにぎりとパンで済ませました。
 そして最後の片付けと清掃、それからトラックへの器材等積み込み作業。
 9時頃にすべてが終わり、公民館へ来て下さった区長・大田黒さんと地主・佐伯夫妻と一緒に記念写真を撮りました。
 そして、学生達の車4台は一足早く帰途に。

 私は1人宿舎に残って、業者がふとんを引き取りに来てくれるのを待ち、そして10時半頃に出発。
 大学へは12時過ぎに到着しました。

 無事すべての車が到着したのですが、私が宿舎にリュックを置き忘れるという失態・・・
 区長さんからの電話で気付き、送っていただくことに・・・

 器材は昨日までにすべて洗浄が終わっていたので、大学では整理して元の位置に片付けるだけ。洗車も含めても3時頃にはすべての作業が終わり、いったん解散しました。
 段取りよく撤収作業を進めてくれた学生たちに感謝です。

 そして、夜6時からの打ち上げ・・・盛り上がりすぎて、夜10時頃にはすべてが終了。


 ・・・
 大学が実施する実習発掘調査は、行政機関が行う調査に比べると、作業効率にしても、また作業段取りにしても相当劣ると思いますし、ある側面では調査精度にも若干の不安が残るかもしれません。
 しかし、自ら考え、頭を悩ませ、チームワークを育みながら調査を進め、ひと夏の現場を乗り切ったのちの学生たちの変化には目を見張るものがあります。
 発掘によって得た成果はもちろんですが、実習発掘調査の最大の成果はこうした学生たちの成長であると、そう強く思います。

 さあ、今年度末の報告書刊行に向けて、来週から再スタートです。

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2012年9月14日(金) 第27日目

 本日ですべての現場作業が終わりました。

 午前中に北1トレンチを埋め戻し、撮り残していた古墳全景写真を撮影。
 天気にも恵まれ、雲も適度にやってきて、写真撮影には最適の条件でした。

 現場器材もすべて宿舎に持ち帰り、洗浄。
 10m×10mのブルーシートの洗浄がすこぶる大変でしたが、皆で一斉にぞうきんがけ。
 雨に降られることもなく、夕方6時前には無事器材洗浄が終わりました。

 宿舎の清掃も着々と進み、あとは明朝にもう一度掃除・整頓をするだけになっています。

 今、夜10時過ぎ。
 雷と雨が激しくなっていて、明日の撤収までに雨がおさまってくれることを祈っています。
 雨の中の撤収はいやですから・・・

 下の写真は、本日、古墳全景写真撮影をしているときの様子。
 3年生が6×7をセッティング、2年生が写真台帳を記入しています。
 他の学生は待機中・・・

 早くカメラに慣れて欲しいので、可能な限り、写真を撮ってもらっています。
 が、スムーズに扱えるようになるまでには、なかなか時間がかかります・・・

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2012年9月13日(木) 第26日目

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 本日で西1トレンチ、北1トレンチとも立面図が完成。これですべての図面作成作業が終了しました。

 そして、西1トレンチでは埋め戻し。
 上左写真がその風景ですが、男性陣−「富初号機」から「4号機」までが大スコとジョレンをふるってくれました。
 北1トレンチは明日の午前に埋め戻します。

 宿舎では、不要になった器材の洗浄作業(上右写真)。
 真っ黒に汚れたブルーシートのぞうきんがけが思いやられますが、うまくいけば、大学に戻ってからの洗浄作業の手間が相当軽減されそうです。

 私は朝7時半に宿舎を出て大学にいったん戻り、公用車のトラックを借りてきました。
 11時頃に現場に戻り、午後一番に転落石を役犬原の世界遺産準備室に運搬。宮本さんの指示のもと、2階の一角に置かせていただきました。

 いよいよ明日はラス2。
 明後日にスムーズに撤収できるよう、明日もいい天気にならんことを・・・


 下左の写真は西の7号墳上から、右は南西からみた6号墳です。

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2012年9月12日(水) 第25日目

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 体調を崩し自宅療養中の学生1人を除いて、6日ぶりに全員出勤。
 埋め戻しを控えた北1トレンチで集合写真を撮りました(下の写真)。

 現場では北1トレンチと西1トレンチで葺石立面図作成作業が続いています。
 中腰で視線を合わせて線を引く作業に、「足がピクピクします・・・」との悲鳴を上げながらも、根気強く集中して描いてくれています。
 天気が味方をすれば、明日には終了しそうです。

 以上に並行して、撤収作業も本格的に始めました。

 取り上げた転落石は阿蘇市教育委員会で預かっていただくので、屈強系の男子たちが下の道路まで担いで下ろしてくれました。
 明日午前、久しぶりに大学へ戻ってトラックを借りてくるので、午後に役犬原の世界遺産準備室に運び込む計画です。

 また、現場ではもう使わないであろう器材を宿舎まで運び、洗浄を開始しました。
 ほかに、トレンチの基準杭の座標をはかり、さらに、撮影し残していた古墳全景写真(上左の写真)を撮り始めました。
 宿舎の清掃も着々と進んでいます。


 今日の夕食ですが、地主の佐伯さんから自家製のピザやサラダ、ブドウ巨峰の差し入れがありました。
 とてもおいしいピザで、学生たちの食欲は止まるところを知りませんでした。
 上右の写真がその食事風景です。
 皆、いい表情ですね!

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2012年9月11日(火) 第24日目

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 曇っていましたが、本日も1日現場にいることができました。
 ようやく、天が味方してくれているような・・・

 東1トレンチでは午前中に立面図が完成し、すべての作業が終了しました。そして、午後から埋め戻し。
 私と女子学生3人の4人で夕方までにほぼ終えることができました。
 女性3名の頑張りがすごかったですね。私もたじたじ・・・

 上左の写真が埋め戻し前。今日までの精鋭5人衆です。上右および下左の写真が埋め戻しの様子。下左の写真に写っている3人が埋め戻しに頑張った面々です。

 北1トレンチでは立面図作成作業に移行しました。あと1日半くらいかかるでしょうか?
 西1トレンチでは2段目葺石部とテラス面礫敷部の平面図が終了しました。明日レベル入れから立面図作成作業に移行します。

 いよいよ現場も撤収に向けての作業に入っています。

 今日の夜8時半、阿蘇駅着のJRで、集中講義のために大学に戻っていた2・3年生が宿舎に帰ってきました。
 昨日までの6人とは違って、今、とてもにぎやかです。
 下右の写真は、帰ってきた学生たちが本日までに仕上がった図面をみながら不在5日間の進捗状況を確認している様子です。

2012年9月10日(月) 第23日目

20120910syo-dono.jpg(158208 byte)  昨日に引き続き、今日も1日、作業ができました。
 少し天候が安定してきたような、そんな気がします。

 今日から埋め戻しの準備に入りました。
 右の写真は、その様子。
 葺石のすき間を埋めるための小さな土嚢を、手が空いた時間にせっせと作っています。

 今日は、別府大学の田中裕介さんが学生さんを連れて見学に来て下さいました。
 田中さんは2度目の訪問。
 その熱心さと、我々に与えて下さる的確なアドバイスに頭が下がる思いです。

 さて、その田中さんたちと平原古墳群の全体をみるために歩き回ったのですが、その過程で、別の尾根筋に位置する8号墳の周辺において3基の新たな円墳の存在を確認することができました。
 阿蘇市の遺跡地図にも登録されていない古墳です。

 積極的に歩き回って古墳の存在を指摘してくれた別府大学の学生さんたちに感謝です。本当にありがとう。

 これまで、8号墳だけが単独にあることを変に思っていたのですが、やはり同じ尾根筋に点々と円墳が分布するようです。
 もっと丹念に歩き回れば、さらに新たな古墳の存在を確認できるような、そんな予感がします。

 新たな課題を与えていただいた今日の午後でした。


2012年9月9日(日) 第22日目

 午前の方が天気がもつ確率は高いと思われるため、今日は午前7時半に宿舎を出て、7時40分には作業を開始しました。
 でも、昨日の大雨のため、シートの上には今現場でもっとも多くの雨水がたまっており、また、今現場ではじめてトレンチ内にまで雨水が入り込んでいました。

 そのため、早出をしたとはいえ、トレンチの復旧作業にかなりの時間を費やしてしましました。
 とはいえ、早出をしたおかげで、いつも以上に通常の作業に時間を割くことができました。

 午前の私は、学生の皆が図面作成作業に集中しているなか、水に濡れた器材の洗浄や整理整頓を行っていました。
 その過程で、器材係にすべてを任せてはいけないと強く感じました。
 とくにピッキョリが現場に置かれていたことにビックリ。即、宿舎へ持ち帰りました。

 今、集中講義で大学に戻っている器材係の学生のみならず、2・3年生全員にしっかりと注意をしなければと思った次第。
 彼らが戻ってくるのは12日・・・忘れないように・・・

 現場の方は、各トレンチでたんたんと図面作成作業が続いています。
 東1トレンチでは、午後4時頃、立面図作成作業に移行しました。
 北1トレンチでは、葺石部の平面図作成を継続中。
 西1トレンチでは、土層の注記を継続中。ほかに、拡張区や本トレンチ1段目葺石までの平面図が完成しました。残るは、本トレンチ上方のテラス面と2段目葺石の平面図です。

 今日もバタバタしていて、現場で写真を撮ることができていません・・・


 今、まだ午後10時半ですが、今にもまぶたが閉じそうな、そんな強烈な眠気におそわれています・・・


2012年9月8日(土) 第21日目

 昨日の夜のうちに教職関係のガイダンスを終えた3年生男子が1人戻ってきてくれました。
 これで私を含めて男2人、女4人で11日まで現場を継続します。

 今日は、3つのトレンチすべてで図面作成作業。
 土層断面図が一部に残っていますが、いずれも平面図作成に移行しています。

 午前中は順調に進んでいたのですが、またまた雨、、、大雨。
 午後2時頃から曇り始め、トレンチにシートをかけ終えるか終わらないかのうちに土砂降りに。
 現場テントに30分ほど避難し、小降りになったところで撤収。
 撤収後にも大雨・・・

 本当によく降られる現場です。

 このような夕方の雨が阿蘇の通常であるとすれば、次年度以降の調査においては、ひんぱんな雨を考慮に入れて日程を考えなくてはなりません。


 6人のみなので、夕食は、現場後、皆で作っています。
 今日は鍋、、、明日は手巻き寿司の予定、、、ちょっと贅沢でしょうか?

 ご飯も通常人数の時ほど多く炊く必要がありませんので、いつもの5升炊きガス釜の出番はありません。
 写真の2つの炊飯器で十分です。

 2つの炊飯器のうち右側のちょっと古ぼけたものは、私が学生時代に使っていたものです。
 個人では必要がなくなったので、発掘調査合宿用として大学に置いています。
 25年ものの炊飯器・・・
 炊飯と保温の機能しかありませんが、まだまだ現役で、バリバリ働いてくれています。

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2012年9月7日(金) 第20日目

 今日は、私を含めて午前4人、午後5人で現場を回しました。

 私も、3年生の学生が昨日のうちに完成させることができなかった土層断面図の続きをフォローしました。
 かなり手を加える必要があって、原形をほとんど失ってしまったのですが・・・
 その図面を担当していた学生が復帰するのは12日。そのときに注意して、もっともっと教えないと・・・と思っています。

 午後は、熊本大学教育学部名誉教授の渡邉一徳先生に現場に来ていただき、葺石石材について教えを受けました。

 先生によると、白っぽい角閃石安山岩が目立つとのこと。さらに白っぽい輝石安山岩があり、少量の溶結凝灰岩も含まれていて、さらにまれに(坂梨)流紋岩があるとのことでした。

 そして、北側にある沢の転石を調査すると、葺石と同質の石材が転々とあり、また、白色のものも普通に存在していました。

 こうしたことから、葺石石材は、古墳周辺の地質に含まれるものを利用したと考えられます。
 ただ、白色のものが特徴的に目立つことを重視すれば、転石のなかでも白色の強いものを選択的に利用している可能性も考えられます。
 つまり、この古墳の完成時は墳丘面が白色に輝くものであったと推測され、阿蘇谷の平地からとても目立った存在であったことでしょう。

 完成時の古墳の色なんて、あまり考えたことがなかったので、ハッとさせられた今日の午後でした。

 阿蘇地域の黒ボク土のなかに、白い石で表面を飾られた丘陵上の古墳は、とても目立つ存在であったはずです。
 今後の検討がさらに必要であるとは思いますが、意図的に白色の石材を選んで用いていたと考えてみたいところです。

 そんなこんなで、今日はバタバタしていて、写真を撮ることができませんでした。
 ですので、以前に撮ったものですが、上の記述の参考のために、葺石の写真を以下に示しておきます。

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2012年9月6日(木) 第19日目

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 昨日の予報では雨だったのですが、学生がつるした照る照る坊主のおかげか、今日は1日中、晴れが続きました。
 朝は上右の写真のように、阿蘇五岳の麓に濃い霧が出ていたのですが、日中は太陽が顔を出し、何かもう秋の気配を感じるような、そんな穏やかな1日でした。

 さて、現場ですが、西1トレンチも今日の午前中で割り付け作業を終え、午後から実測作業に入りました。
 これで、3つのトレンチすべてが実測段階に移行したことなります。
 人数の多い今日までは、下の写真のように、土層断面図の作成から始めています。

 でも、今日の夕方、2・3年生の全員が、集中講義のため一端帰宅しました。午後8時発のJRにて・・・
 そのため、明日からしばらく救援に来てくれる4年生を入れても、明日は5人、明後日からは6人で現場を回します。

 そんな人数の関係もあり、明日からは平面図作成を優先的に進める予定です。
 というのは、大学院生や研究生のみが残っているような状態なので、彼らに大いに力を発揮してもらおうとの考えです。

 しかし、今宵は宿舎に4人のみ。
 たまり場を兼ねた男部屋がいつにもまして広く感じます。

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2012年9月5日(水) 第18日目

 昨日はひさびさに1日作業ができたのですが、今日はまたまた雨に降られました。

 午前11時半頃から雷鳴が近づきはじめたので、これは危険だと判断。
 昼食時間も近づいていたので、一端、宿舎へ撤収することにしました。

 12時過ぎに宿舎へ戻って、現場で食べるはずだったおにぎりと缶詰めの昼食・・・そのとき大雨が落ちてきました。
 間一髪セーフの、なかなかうまい撤収だったと思いますが、でも、気が滅入ります。
 よく降られる現場です・・・

 明日の夜には、集中講義のため2・3年生が一端帰ってしまうので、現場には私を含めて5〜6人しか残りません。
 写真は終わっているのですが、図面が残っているので、15日撤収ぎりぎりの日程になってきました。
 天気次第では、15日撤収後に、埋め戻しのためだけに現場に来る必要が生じるかもしれません。

 そうはならないように、学生に最後のがんばりのハッパをかけないと・・・と思っています。

 下左写真は西1トレンチ墳丘断ち割り部分の土層、右は同トレンチの2段目葺石です。

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2012年9月4日(火) 第17日目

 東1トレンチ、北1トレンチは本日から実測のための割り付け作業を開始。
 早々に終了した東1トレンチでは、土層断面の実測作業が始まっています。

 でも、不慣れな学生が多いので、断面の割り付けも一から教えていて、また、写真撮影が重なったときなどは、私の手が足りません・・・

 西1トレンチでは、ようやく矛盾のない土層解釈に至り、また基底石付近の様相も自然な状態に墳丘面が確認されたので、分層を確認したのち、全景写真撮影に移行しました。

 写真撮影は夕方行ったのですが、うっそうとした杉林のため、明るさがまったく足りず、超スローシャッターでの撮影となりました。うまく写っているのかどうか・・・
 以下は、そのデジカメ写真。
 フィルムカメラでどの程度まで撮れているのか・・・現像するまで本当に不安です。

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2012年9月3日(月) 第16日目

20120903asamoya.jpg(144778 byte)  朝もやのとても幻想的な景色の中、現場開始。

 宮崎市の西嶋さんが見学に来て下さり、アカホヤ層やその下にある褐色ロームなど、基本的な土層について教示を受けました。

 負うた子に教えられるとはまさにこのことで、本当にうれしく、また頼もしく思いました。
 感謝。

 これで、墳丘盛土についての認識が一気に深まり、東1トレンチや北1トレンチでは、基底石直下から盛土が始まるとの解釈に至りました。
 また、この両トレンチ部分では、アカホヤ層が残される状態に整地されているようです。

 一方、西1トレンチでは、基底石付近の土層がややこしく、いまだ検討が続いています。
 もう少し下がると思うのですが、学生たちが侃々諤々の議論をしながら掘り下げているので、今少し見守りたいと思っています。

 今日の午後4時頃、夜のように暗くなり、雨の前触れであるヒグラシが鳴き始めたので、慌てて撤収。
 宿舎に帰り着く頃には土砂降りとなっていました。

 見学に来て下さった西嶋さんもびしょ濡れ・・・
 本当によく降ります。


 夜、午後8時〜9時半。
 地元の方々との懇親の場を持ちました。
 区長の大田黒さんの提案でしたが、学生たちも積極的にまじわり、大いに盛り上がりました。
 おかげで、男子学生1人がダウン。

 ちょっと一騒動の夜となりました。


 さて、下左写真は東1トレンチ、右は北1トレンチの様子です。
 足場2段上からの撮影です。

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2012年9月2日(日) 第15日目

 本日は休日としました。

 昨日、現地説明会が終わったところであり、また調査期間のちょうど半分が過ぎたところでもあるので、休むにはいいタイミングであったと思います。
 ただ、トレンチの全景写真撮影が終わっていない段階なので、少々落ち着かない、すっきりしない気持ちのままの休日でしたが、学生たちの久しぶりのリラックスした姿をみて、休みにしてよかったなあと感じています。

 2週間休みなしにやってきましたので、数日前から学生たちの笑顔に疲れの色が出ているように感じていました。
 ですので、今日の休みで、また今日実施した阿蘇観光によって、少しは疲れがとれていてくれればと願っています。

 下10枚の写真は、今日の思い出。
 それぞれどこの写真か、おわかりになるでしょうか?

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 小嵐山から中通古墳群を望む / 長目塚古墳から平原古墳群を望む
 国造神社 / 上御倉古墳
 阿蘇神社 / 大観望から平原古墳群のを望む
 阿蘇山上 / 白川水源
 湧水トンネルのクマモン / 湧水トンネル


2012年9月1日(土) 第14日目

 現地説明会。

 現説の日程は、古墳の地元、山田地区区長さんとの相談によって調査開始以前から決めていたので、調査の進捗状況いかんにかかわらず、実施することにしていました。
 でも、学生たちのがんばりのおかげで、葺石や基底面などをちょうどいい状態にまで検出できたところをみていただけたと思います。

 下右の写真はその現説風景。
 フィールドマスターの安田さんの説明がとてもていねいでわかりやすかったとの声がありました。

 およそ70名の参加者があり、熊本古墳研15名や木下先生、大坪さん、前田さん、神川さんほかの専門家のみならず、地元の方々がとても熱心に見学し、また興味をもって説明を聞いてくださって、心からありがたく思いました。
 あらためて、次年度以降も、じっくりとていねいに調査を継続したいと思った次第・・・
 何とか、工面して、また工夫してみたいと考えています。

 調査の方は、東1トレンチ、北1トレンチとも、墳丘面検出状況の写真撮影段階に至っているのですが、いかんせん昨日から晴れすぎ・・・木もれ日のため、写真が撮れません。
 でも、辛抱。
 ここで拙速にすると、あとで必ず後悔することになるので、じっと我慢です。

 西1トレンチ(下左写真)は、昨日検出していた壺形埴輪を取り上げて、いよいよ墳丘面の確認作業に入っています。
 でも、本日は、現説準備などのため時間切れで最終決着に至らず。
 明日以降です。

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2012年8月31日(金) 第13日目

 甲元眞之先生と杉村彰一先生が見学に来て下さいました。
 美しく検出されている葺石をみて、また壺形埴輪が多く出土しているということを聞いて、いいフィールドだねと・・・

 学生が頑張っている様子をみてとても喜んで下さっていて、私も力をもらった気がします。

 さて、懸案だった西1トレンチですが、ほぼ全体で様相を把握できました。
 墳端を示す基底石も検出され、あとはトレンチ全体で墳丘面を確認すること。
 それが残された課題です。

 下左の写真は、その西1トレンチ全景。基底石の並びがよく見えています。
 右は、西1トレンチ拡張区で出土した壺形埴輪の口縁部から頸部・肩部。
 今回の調査では、口縁部や体部の出土が目立ち、底部の破片がほぼありません。こうした状況から、段築平坦面に、壺形埴輪の底部が樹立状態で遺存しているのではないかと推測しています。

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2012年8月30日(木) 第12日目

 またまた、降雨コールド。

 台風15号の雨以降、よく降ります。とくに夕方。夕立がひどく、慌ててシートをかけるので、現場ミーティングもできないままの撤収が4日間も続いています。

 これでは調査成果の共有が難しので、明日、朝一番に簡単な現場ミーティングを行う予定です。
 でも、明日も降水確率70%とかで、ちょっと気が滅入りますね・・・


 昨日、大きな展開があった各トレンチ。
 東1・北1トレンチは墳端の基底石より外側の平坦面(墳丘面)の検出作業を継続中。
 東1トレンチはほぼ終了したので、明日、天気がよければ全体写真を撮影する予定です。

 一方、なかなか本性を現さないのが西1トレンチ。
 基底石と思われる石材の並びが顔を出しているのですが、墳端平坦面となるあたりにまだまだ転落石が多く含まれており、また壺形埴輪片も出土するので、さらにもう少し下がりそうです。

 ちょっと混迷を極めている感のある西1トレンチですが、壺形埴輪の口縁部から体部上半までの破片がゴロッと出土したりして、一気に掘り下げたいのですが、思うように進んでいないというのが正直なところ。

 トレンチ西端近くのため作業スペースが狭く、墳端の検出作業が難しくなったので、今日、50p西へトレンチを拡張。
 何とか、明日には決着をつけたいところです。

 でも・・・天気が心配です。

 今日の写真は調査風景。
 下左は北1トレンチ、右は西1トレンチ。
 精査している北1トレンチと、まだまだ大スコをふるっている西1トレンチが対照的ですね・・・

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2012年8月29日(水) 第11日目

 今日も4時半頃から突然の大雨。
 大慌てでトレンチにシートをかけ、撤収しました。
 その時間まで判断が要求される場面が続いていたので、現場で写真が撮れず。
 で、今日の写真は夕食風景です。

 乾杯の瞬間、そして今日誕生日の学生さんとケーキ。
 毎日、充実した内容の夕食だと思います。

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 さて、今日の現場ですが、各トレンチにおける墳丘の様子がほぼ明らかになるという、大きな展開がありました。

 東1トレンチ。
 墳端テラス面を構成する土層がほぼ明らかに・・・黄色粘質土混じりの茶褐色土が一面に検出され、それがテラス面を成すものと判断しました。
 あとは、これをきれいに検出して、写真撮影から実測です。

 北1トレンチ。
 サブトレンチを設定してテラス面の土層を確認した結果、東1トレンチと同質の黄色粘質土混じりの茶褐色土が一面で検出されました。これがテラス面を成す土層だと思われます。
 さらに、壺形埴輪の底部が原位置に近い位置で残っていると考えていた部分ですが、精査した結果、流出土に含まれていることが判明しました。さらに、底部だと思っていたのですが、壺の頸部から肩部の破片であると判明。見誤っていました・・・
 明日以降、この壺形土器が含まれる黒色土を除去すれば、おそらく黄色粘質土混じりの茶褐色土が検出されることでしょう。

 西1トレンチ。
 坪掘り部分で、よくしまった盛土と判断される土層、および基底石だと思われる石列が検出されました。
 さらに、これまで性格がよくわからないので残していたトレンチ中央部の石列も、精査の結果、死に石であると判断。
 取り上げた結果、直下から壺形埴輪片が出土し、さらに精査した結果、黄色土を含む盛土と思われる土層が検出されました。
 あと残るのは、墳端の基底石周辺の精査です。

 今日で11日目。
 まだ調査期間は半月あるのですが、今後の作業内容、および参加者数の減少、さらに学生の力量を考えれば、ぎりぎりの残り日数であるようです。

 今日の夜のミーティングでそのことを伝え、学生さんには覚悟をしてもらいました。
 とはいえ、今11時半。
 誕生日の学生を囲んで、賑やかな夜が続いています。

2012年8月28日(火) 第10日目

 東1トレンチ、北1トレンチとも、昨日のうちに転落石をほぼ除去し終え、墳端の外側に広がるテラス面の検出作業に入りました。
 でも、難航していますね・・・

 古墳面を判断するすべであった葺石がないため、あとは埴輪などの古墳にともなう遺物や転落石が出土しなくなることなどを頼りに、土層観察が勝負なりますから、学生さんたちはやはり慎重になるようです。
 といっても、私も今回調査対象の古墳の盛土の様相をつかめていないのでなかなか判断に苦しんでいるのですから、仕方がないとは思っています。
 悩んで悩んで悩み抜いて、そして考えて欲しいと思っていますが、でも、サブトレンチによる断ち割りの判断をそろそろすべきであるのかもしれません。

 一方、西1トレンチでは大きな進展がありました。
 逡巡していても仕方がないので、断ち割り、そして一部坪掘り。

 その結果、性格がよくわからなかったトレンチ西端の石列より下位の土層で、壺形埴輪の頸部細片が検出されたのです。
 そして、さあ、一気に下げ始めよう・・・というところで、降雨中断。

 とても激しい雨脚で、みなズブ濡れとなりながら、トレンチにシートをかけてくれました。

 下の写真は雨に濡れる物干し竿と公民館前につるされたカッパたち。
 すごい雨でした。

 まだまだ懸案事項が多いので、明日はすっきり晴れて欲しいのですが・・・天気予報は雨模様・・・

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2012年8月27日(月) 第9日目

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 台風15号、史上最大級の台風が接近中とかで、朝から雨模様。
 晴れ間をついて現場に向かうも、テントを建てたとたんに雨。

 でも杉林が少しの雨程度はさえぎってくれ、また雨も小康状態になったので、今日のメイン作業、東1トレンチおよび北1トレンチの転落石検出状況の写真撮影を行いました。

 上左が東1トレンチ、右が北1トレンチです。
 とてもよく葺石が残っており、墳端の外側に転落石が転々と転がっている状況がよくわかると思います。

 一方、西1トレンチは検出された段築2段目の葺石とテラス面の検出作業を継続。そして、いまだ解釈がつかないトレンチ西端の石列の意味を明らかにするため、断割作業に入りました。

 でも、すぐに雨足が強くなり、午後4時半には撤収。
 今日はゆっくりと温泉につかることになりました。


 さて、熊大の実習発掘調査では、朝・昼・夜の食事をすべて自炊でまかないます。
 そのため、学生たちは毎日のメニューがかぶらないように、とても工夫を凝らしてくれます。
 今年も、カレーライスはまだ1回のみ。
 ロールキャベツが出てきたこともありました。

 昼食は、おにぎりと缶詰、そしておかず1品。
 現場で食すおにぎりは、いつも以上においしく感じます。

 下左の写真は、そのおにぎり作りの様子。右は、夜、宿舎にて、遺物洗いをする学生さんたちです。

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2012年8月26日(日) 第8日目

 卒業生の弘中さん来現場。
 雨男の来訪に皆、戦々恐々としていましたが、弘中さんの見学中は太陽が顔をのぞかせていました。
 しかし、午後の天気は気まぐれで、小雨が降ったりやんだり・・・
 でも、だましだまし、何とか1日中、作業をすることができました。

 さて、本日は新展開がいくつかありました。

 まず、懸案だった西1トレンチ。
 転落石を取り除いた結果、トレンチ中央で、段築2段目の基底石とそれに続く礫敷のテラス面が検出されました。
 そうしますと、トレンチ中央にあった鉢巻き状の石列は、このテラス面と1段目斜面を画すものである可能性も浮上してきます。さらに、性格がもう1つ不明確であった締まりのない黄色土混じりの黒色土は古墳の盛土である可能性が出てきます。

 問題なのは、トレンチ西端に並ぶ石列の解釈です。
 何なのか?
 思い切って、石列から東側を断ち割ってみるしかなさそうです。

 そして、北1トレンチ。
 墳端、すなわち段築1段目基底石の外側平坦面で、おそらく壺形埴輪の底部であろうかなり大きな破片が転落石直下で検出されました。
 転落石を除去するなどまだまだ精査が必要ですが、この状況からすると、それほど原位置を動いているとは思えず、壺形埴輪の樹立位置を示す可能性があります。(その後、底部ではなく、また原位置でもないことが判明しました。)

 転落石の散乱状況写真を撮影したあとのテラス面精査が楽しみです。

 下左の写真は、その壺形埴輪出土位置を指し示す学生さん、右は同じ北1トレンチの基底石周辺葺石のすき間に落ち込んでいる埴輪片です。

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2012年8月25日(土) 第7日目

 今日でちょうど1週間が過ぎました。

 昼休み・・・今日は皆が横になって寝入ってしまいました。
 疲れが出てきた頃でしょうか。

 東1トレンチ、北1トレンチは葺石面の検出作業継続、西1トレンチはこれ以上の掘り下げ前に現状の石材の記録をとるため、割り付け作業。
 そのため、本日は大きく変化した箇所はほとんどありません。

 で、写真は、昼休みの皆の様子(左)と現場終わりのミーティング風景(右)。  ゴロゴロと横になる学生さんたちと、各トレンチ担当者の説明を熱心に聞く学生さんたち。

 なかなかいい雰囲気の現場になってきました。

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2012年8月24日(金) 第6日目

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 これも26日朝に書いています・・・外は雨模様・・・


 さて、24日の作業ですが、3つのトレンチのうち東1トレンチ、北1トレンチ(上左写真)は葺石面の検出作業を継続中です。
 思いのほか葺石がよく残っていて、学生たちは足場に苦労しながら、掘り下げています。

 葺石面を検出するだけなのでそれほど難しくないとは思うのですが、初めて見る古墳の生きた面に対してやはり少し慎重になるようで、遅々とした進み。

 でも、古墳にはじめて対したときはこのようなものだろうと、はやる気持ちを抑えながら、グッと我慢をして見つめています。
 とはいえ、「もっと下げんかい!」とついつい口走ってしまうのですが・・・

 難航中なのは、もう1つのトレンチ、西1トレンチ(上左写真)。

 とても浅い位置から、並んだ状態の石材が顔を出し、さらに一部で黄色土混じりの黒色土が面的に広がった状態で検出されたのですが、石材の並びは他のトレンチの様相とはまったく異なってまばらであり、また黄色土混じりの黒色土も人の手が加わったもののように思いますがまったくしまりがなくて古墳の盛土と即断するには躊躇する状態です。

 断ち割って判断するしかない状況になっていますが、しかしこれ以上下げる前に、念のため、現状を写真と図面で押さえる作業に入っています。
 明らかに浮いている石材を取り上げつつ、現状の面以下の様子を探る調査に、明日以降、移っていく予定です。

2012年8月23日(木) 第5日目

 23日はバタバタしていて、これを26日朝に書いています。


 現場での作業は昨日からの継続で、残存する葺石面の検出作業に終始。
 淡々と進んでいます。

 この日のトピックといえば、夜、宿舎に借用している山田地区公民館にて、地元の方々に調査の意義を説明する会を開催したことです。

 現場を約1時間早く終了し、夕食も6時半には済ませて準備。
 7時15分頃からぼちぼち人が集まり始めて、20人ほどの参加者がありました。

 説明会では、杉井が「古墳とは?」「古墳時代とは?」「阿蘇谷の古墳とは?」という話をし、そしてフィールドマスターの安田未来さんが「平原古墳群とは?」という内容で調査の目的などを説明してくれました(下左写真)。
 破片ばかりですが、これまでに出土した遺物もみていただきました(下右写真)。
 かみくだいて話したつもりですが、私の内容は少々難しすぎたと反省しています。
 でも、安田さんがそれを上手にフォローしてくれたような、そんな説明会でした。

 約1時間でしたが、熱心に聞いて下さり、地元の方々の関心の高さを知るとともに、公民館できちんと生活をして、そしてしっかりした調査をしなければと心を新たにした夜でした。

 調査開始前から予定していた説明会でしたが、終わって少しほっとしています。

 さあ、現場に集中です。

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2012年8月22日(水) 第4日目

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 調査4日目。
 本日はじめて、何の支障もなく、1日中現場で作業ができました。
 途中パラパラと雨が降ったことがありましたが、まったく影響なく、1日中現場にいました。
 昼食のおにぎりも現場にて・・・やっぱり、現場で食べるおにぎりはとてもおいしいと感じます。

 さて、東1トレンチ(上左写真)。

 淡々と掘り下げていけば葺石面に達することは見えているのですが、古墳調査が初めての学生さんにとっては慎重かつ大胆にというわけにはいかず、何が出てくるのか不安で・・・との理由から、慎重かつ慎重かつ慎重になっていてなかなか進まないので、じゃあ、サブトレンチを設定すれば少しでも大胆さが出るかな、ということで、上左の写真。
 やっぱり、葺石が検出されました。
 すこぶる残りがよい葺石です。

 西1トレンチ(上右写真)。

 こちらもサブトレンチにて対応。
 すると、トレンチ上半部において葺石あるいはその平坦面らしき箇所が検出されつつあります。
 段築のテラス面かもしれませんが、今ひとつ不明です。
 そして、やはり、トレンチ西端で出ている石材の性格が今ひとつつかめていません。生きているようにも思いますが、そうすると墳端の基底石という解釈になります・・・はたして??

 北1トレンチ(右写真)。

 昨日夕方、新たに掘り始めたトレンチですが、すこぶる順調です。今日の終わりには、トレンチ墳丘側の南端部付近で葺石と思われる石材の集中が検出されました。
 トレンチのトップとなる学生によって、まったく異なる進み方になるなあと、今さらながら実感させられています。

 皆がこの現場で化けてくれることを、心から期待しています。

2012年8月21日(火) 第3日目

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 調査3日目。
 朝から雨模様で、午前中は待機となりました。
 そのため、昼食のおにぎりは、今日も宿舎にて・・・そろそろ、現場青空の下で、おにぎりを頬張りたいですね。
 で、午後から出勤・・・

 平原6号墳は直径30mほどの円墳ですが、今回の調査はその墳丘規模・構造の解明を目的としています。
 時間と人員などに余裕があれば、最低4方向にトレンチを入れたいところなのですが、なかなかそういうわけにはいかず、今は東西の2箇所と北の1箇所のみ。
 作業の進捗状況をみながら、今後を決めたいと思っています。

 さて、その東1トレンチ(上左写真)。
 地表下50pほどで、石材の集積が顔をのぞかせつつあります。
 おそらく葺石・・・
 まだ、表面が出ているだけですが、よく残っていそうな、そんな印象を受けています。

20120821birthday.jpg(162160 byte)  一方、西1トレンチ(上右写真)。
 その西端部でよくわからない石材がまとまって検出されており、その性格を明らかにすべく、学生達が奮闘中。
 どのようにしたらわかるのか、よく悩んで・・悩んで・・考えて掘って欲しいと思っています。
 そういう私も、ちょっと迷っている状態なのですが・・・


 今日は私の誕生日。
 夕食後にサプライズのチョコレートケーキが登場し、少々照れくさい瞬間でした。

 三段築成の前方後円墳。
 埴輪も並んでいて、とても凝ったケーキでした。

 ・・・
 ありがとう!!

2012年8月20日(日) 第2日目

 調査2日目。
 でも、昨日は搬入と宿舎設営などでほとんど費やされましたから、実際に土を掘り始めたということで言えば、今日が初日のようなもの。

 今回の調査に参加した2年生にとっては、本当に人生で初めての掘り下げ。
 でも、3年生であっても、また研究生や院生でさえも、古墳のような構築物の調査はほぼはじめてですから、これまでの包含層の発掘調査とは勝手が違うようで・・・

 千崎古墳群の発掘調査においては、少なくとも1人は古墳の調査経験者がいましたから、ある程度はまかせることができましたが、今回はそうした経験を持つ学生は皆無。

 ですので、なかなか進まない、また不慣れな様子に、私の小言が心なしか多いような、そんな気がします。

 こうした学生の経験値の不足、さらに現場参加人数の少なさから、今回は多くのトレンチ設定が難しそうですが、可能な限りのことはしなければと思っています。

 今日は早速、性格不明の石材が顔をのぞかせていて、学生とともに頭を悩ませています。


 さて、今日は宿舎の紹介です。
 下左の写真は、宿舎の山田地区公民館。右は、宿舎から望む阿蘇五岳。
 晴れた日には絶景の立地です。
 満天の星空・・・とても涼しい、寒いくらいの夜を過ごしています。

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2012年8月19日(日) 第1日目

20120819torenchi-settei.jpg(161569 byte)  平原古墳群6号墳の発掘調査実習、始まりました。

 私は昨日、新潟県胎内市城の山古墳の主体部発掘調査現場を日帰りで見学に行っていたのですが、伊丹乗り継ぎの熊本行きANAが悪天候のため欠航。
 慌ててバスで新大阪に向かい、最終の新幹線で熊本へ戻りました・・・

 その強行軍のせいか、今日の午前中は体がだるく、また今、夜の9時ですが大変眠く・・・


 さて、今日は朝6時半に大学へ行き、公用車のトラックを借用。
 7時に考古学資料室へ集合した学生達と器材を積み込み、いざ、阿蘇の平原古墳群へ。

 今回の調査は、古墳の地元、山田地区の皆様に大変なご協力をいただいており、宿舎も山田地区公民館を利用させていただいています。
 先の大雨の傷跡がまだ癒えない阿蘇ですが、今日も地元の方々の暖かいお出迎えを受け、よい調査をしなければと気持ちを新たにした次第です。


 今日は宿舎設営、現場への器材搬入、調査前の現状写真撮影、そしてトレンチ設定。

 古墳調査のみならず、発掘調査にも不慣れな学生達ですが(この数年で力が落ちたか?)、学生自身がそのことを自覚しているせいか、皆、相当の緊張をしているようで、そのことをひしひしと感じています。

 厳しく、そして、1つのいいチームになるように・・・

2012年8月16日(木) 事前準備

 今年の熊本大学考古学研究室の実習発掘調査は、2008年度の上天草市千崎古墳群第7次調査以来4年ぶりに熊本県内で実施します。

 調査対象は、阿蘇市山田に所在する平原古墳群の6号墳。
 中通古墳群北西の尾根筋上に立地します。

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 今日は事前準備として、古墳に生えている下草の伐採、そして間伐材の除去作業を、山田地区区長・大田黒さんと地区の市原さんの協力を得ながら、男子学生2人と行ってきました。
 下はその様子。
 大田黒さんにチェンソーで裁断していただいた間伐材を、調査に支障のない場所まで運んでいます。

 うしろに見える小山が6号墳の墳丘。
 とてもよく残っています。

 調査はこの墳丘規模・構造の解明を目的に行います。
 8月19日開始。
 いよいよです。

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