総合人間学科

倫理学

photo.jpg 誕生から死にいたるまでの間に、われわれが生活しているこの社会、呼吸しているこの文化のなかで、誰しもなにがしかのことを思い悩まずにはいないものです。その中でも、何のために生き、そのときどきに何をなすべきなのか、これはまさに、倫理にかんする「われわれの問い」です。それが倫理学という学問のなかで、人間であるとはどのようなことであり、社会はどのようなものでなければならないかなどの一般的な問に姿を変えて現れてくるのです。

 学問とは「問うことを学ぶこと」でもあります。過去の著名な思想家たちに教えをこうのではなく、かれらが問いかけたその姿勢を学び、倫理の「学」に踏み込むことができるならば、現代という時代、そしてそこに生きるわれわれの「生」の意味を、自分なりに理解することができるようになるでしょう。そのなかで、地球規模での環境破壊や、脳死や臓器移植、クローン人間、人間の尊厳、またいじめや児童虐待等の現代の倫理的諸問題を具体的に考察していくことも可能となるでしょうし、逆に、そうした問題を自分の問題としてひきうけて考えていくことによって、「私とは何か」についての理解もより深まっていくことでしょう。
 日常の具体的問題から人生の真理にいたるまで、手短かな解決ですましてしまうのではなく、ことがらの核心にせまることができるように、「演習(ゼミ)」での討論などを通じてきたえていってほしいと考えています。

授業内容と授業科目例

学年 授業内容 授業科目例
1年次 倫理的問題の本質や生じてくる原因を、欧米倫理学、日本思想、深層心理学等を通じて考察するとともに、理論的かつ実証的考察によって現在の諸問題の全体像を概観します。 倫理学概論
深層心理学概論
2年次 生命・環境・情報・技術等にかかわる、現代の先端的な倫理的問題について概説します。また、実証的研究に不可欠である社会調査の基礎の講義等も行います。 応用倫理学概説
社会調査法概説
社会人間学演習
3年次

4年次
倫理学の基礎と応用に関する基本的理解を前提にして、倫理学理論の歴史や方法について考察したり、生命・環境・情報の領域や学校や家族をめぐって生じる倫理的問題を理論的に掘り下げたり、調査解析によって把握することをめざす授業を行います。
また、卒業論文・卒業研究に向けて、3年次から個別指導の時間を作り論文作成などの支援をします。
倫理学演習
倫理学応用演習
社会調査実習Ⅰ・Ⅱ
課題研究Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ
社会人間学特殊講義
卒業論文

卒業論文のテーマ例

脳死と臓器移植/先端医療/環境/動物実験/格差社会/労働/家族/依存症/価値意識の構造/和辻哲郎/非配偶者間人工授精/安楽死など

メッセージ

田中朋弘先生(倫理学)

倫理学での学習内容はかなりバランスのとれたものといえます。それは、まず、倫理学の基礎的・理論的な領域についての授業から、生命や環境といった領域に関わる現代の倫理的諸問題について考えていく応用部門の授業までをカバーしていることです。また、課題研究I・II・IIIなどでは個人指導が重視されており、それぞれの学生の関心に応じた研究ができる体制がとられています。

村田 くるみ(2014年3月卒)

 倫理学分野では、田中教授、杉本准教授、立花准教授、佐藤准教授から、生命倫理や環境倫理、カント哲学やビジネス倫理、さらには人間の深層心理、ギリシア哲学、メタ倫理学など、幅広い分野にわたって学ぶことができます。

 倫理学というのは、簡単に言うと「何が善で、何が悪か」という善悪の基準を問う学問です。このような問いは、「嘘をつくことは悪いのか?」というような身近なものから、「原子力発電所は廃止するべきなのか?」という難しいものまで、無数に存在しています。昨年度の卒業論文のテーマは、近年問題となっている「孤独死」や「代替医療」、「リベラル優生主義」について論じたもの、日本人の特徴とも言うべき「シャイネス」について論じたものなど、興味深いものばかりでした。この分野では、自分が「やってみたい!」と関心をもった問いに、文献研究やゼミ等での議論を通して、とことん取り組むことができます。その過程には、思いもしなかったような結論や新たな発見などがあり、非常におもしろいです。

 学生研究室は、集中して勉強する時にも、仲間と楽しく過ごす時にも最適な環境です。また、倫理学分野の先生方は非常に個性豊かでユニークなので、とても居心地がよく、楽しい毎日を送っています。

  • 大学院社会文化科学研究科
  • 熊本大学文学部附属永青文庫研究センター

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