総合人間学科

地域社会学

tiki_p1.jpg 私たちは、 ある一定の地域社会の中で、 様々な人間関係や集団をつくりながら、 一人では解決できない生活諸課題を処理・解決しつつ共同生活を営んできました。
 この共同生活を営むシステムや空間的広がりは、時代や社会の発展状況によって変化してきます。車や飛行機などの交通手段が発達していない時代や社会では、ほとんどの人々の生活は、農林業を軸に生まれ育った集落社会の中で完結していました。 しかし、現在の高度産業化社会の日本では、進学や就職などによって国内各地のみならず外国にも移動して暮らします。

tiki_p2.jpg また、食べ物や衣類などの生活物資も国外にまで依存しなければ、暮らしが成り立たない状況も生まれています。暮らしの仕組みやシステムが大きく変化し、 地域社会での人々の暮らし方や考え方も大きく変わりました。 有史以来の大変動期です。
 21世紀に暮らす我々は、 このような社会と暮らしの大変動期の中で、 様々な現実的課題に直面しています。 人口移動にともなう都市の過密問題と農山村の過疎問題。 グリーンツーリズムや「マチづくり」などの地域振興政策。産業化が引き起こす出生数の低下と少子化社会の問題。 家族・世帯の極小化と高齢者福祉問題。 ダム開発などの地域開発事業と自然破壊などの環境問題。 農薬汚染や添加物など「食と農」など暮らしの安全性問題。 自給率の低下や後継者不足などの農業問題と、世界一の飽食状況にある日本人の食生活の矛盾。 市町村合併にともなう地域自治のあり方と政治意識。 このほか地域社会における医療・教育・職業・余暇など、 日常の暮らしと密接の関係する問題が山積みされています。

tiki_p3.jpg 地域社会学は、 暮らしや地域社会の大変動の歴史的要因の分析のみならず、現実の具体的課題について、 真正面から取り組む学問です。 書物から学ぶだけでなく、 フィールドに出て多くの人たちから生きた知識や経験を学び、 具体的に課題に取り組む調査法や技術を調査実習として学ぶことが出来ます。 また、 文献解読や講義だけでなく、 様々なセンサスや統計資料を読みこなす力をつけます。 さらに演習形式の授業による発表や討論によって、自分の意見や主張を論理的に組み立て、 データーに基づく説得力のある論を展開できる学力を磨きます。
 地域社会学の持つ行動力と実証主義的性格は、 卒業後の進路としても専門性を生かした様々な職種を開拓しています。民間では、 新聞・放送、 シンクタンク、 地域コンサル、 旅行者、 銀行・証券・損保などの金融業、 製鉄所などの製造業など非常に幅広く活躍しています。 一方公務員的職種では、国や自治体の一般職、 公立や私立の教員、 地域振興政策系の政府系特殊法人、自治体や民間の社会福祉施設、 また、 近頃は環境や農業系のNPO法人や事業体に進む者もいます。 当然、 大学院の進学者もいます。このように地域社会学は、 幅広い知的関心と現実的・行動的な資質を生かせる教育研究領域です。

授業内容と授業科目例

学年 授業内容 授業科目例
1年次 地域社会の原型と歴史的変化について学びます。 地域社会学概論Ⅰ
2年次 現代の地域社会の特質と課題について学びます。 地域社会学概論Ⅱ
社会調査法概説
3年次 各人の関心のあるテーマに沿って学習します。 社会調査実習
地域科学演習1-A
4年次 教員の指導を受けながら卒業論文の作成に取り組む。 地域科学特殊講義
課題研究Ⅲ

卒業論文のテーマ例

農村移住者の生活、創造されるひなまつり観光事業、都市における祭礼の意義、子ども会から見た団地社会の変容、山村における個人商店の役割、水と人の生活環境史

メッセージ

牧野 厚史先生(環境社会学、地域社会学)

 地球規模の課題から地域の課題まで、私たちは様々な規模の環境課題に直面しています。それらの環境課題を地域生活と関わらせながら考えていきます。

藤本 江梨香(2014年3月卒業)

 私たちが暮らす地域社会は、現在たくさんの問題を抱えています。少子高齢化、農業の担い手不足、都市部における近所付き合いの減少など・・・。こうした問題はテレビやインターネットで度々報じられています。しかし、これらの問題に対する具体的解決策ははっきりとしません。なぜなら、地域社会はそれぞれ異なっており、解決策は一つではないからです。

 地域のことを考える地域社会学は、フィールドをとても大事にしています。人口や住民の年齢構成はインターネットで検索したり、役所に尋ねれば誰でもわかります。しかし、そこに住む人々がどのように日々感じており、どのような暮らしをしているのか、ということは現地へ行って住民の話を聞いた人にしかわかりません。そこで暮らす人の生の声は、本を読むだけではわからない大切なことを教えてくれます。

 今年度、私たちは福岡県八女市の白木地区に赴きました。初めて会う方の家にお邪魔し、家族のこと、農業のこと、地域のことなどについてたくさんのお話を聞きました。知らないかたに聞き取りをお願いし、話を聞くのは他ではなかなかできない体験です。加えて、地元の方がおいしいご飯を作ってくれたり、聞き取り調査の中で人生の教訓を教わったりと、心が暖かくなる体験が出来るのも魅力の一つです。卒業論文では、徳野先生・牧野先生のご指導の下、聞き取り調査の体験を活かして興味のある研究対象について自ら行動し、意欲的に取り組んでいます。

 地域社会に興味がある、住民の方とお話がしたい、おいしいものが食べたい・・・そんな方はぜひ、地域社会学にふれてみてください!

  • 大学院社会文化科学研究科
  • 熊本大学文学部附属永青文庫研究センター

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