総合人間学科

認知哲学

photo5.jpg 「世界について理解しがたいのは、世界がそもそも理解可能であることだ」─かつて、ある偉大な科学者はこう語ったそうです。 じっさい私たち人間の心は、世界について大小さまざまなことを理解し知ることができ、それによって世界を思いどおりに変えることさえできるのです。 これは不思議ではないでしょうか。なぜそんなことができるのでしょうか。そもそも、人間の心と世界とはどんな関係にあるのでしょうか。 ─この「心と世界との関係」を、とりわけ認知的側面から、しかし科学的にではなく哲学的に、すなわち根本的かつ論理的に考えてゆくこと、それが認知哲学の目指すところです。 そのさい中心になるのは、心・知識・言語という三つの観点です。

 すなわち、(1)心と意識の本性や物質世界のなかでの心の位置づけといった「心の哲学」の観点、つぎに、(2)知ることあるいはその高度な形である科学の本性という「知識の哲学」の観点、さらに、(3)心と世界を結ぶものであることばの意味や理解の本性という「言語の哲学」の観点、この三つです。これらの観点から見るとき、私たちの心と世界との間には、驚きの感覚に充ちたさまざまな謎が潜んでいるのです。こうした謎にアプローチするやり方をこの分野で学び、ともに挑んでほしいと思います。

授業内容と授業科目例

学年 授業内容 授業科目例
1年次 人間科学コースに進学し、認知哲学モデルで学ぼうとする人は、哲学的思考の基本を学ぶ科目や関連する学問を学べる専門基礎科目を選択して履修します。 哲学概論
2年次 [前期]入門的文章を用いて、文献を読み考えるための基礎訓練をします。また、知識や言語について考えるために論理学の初歩を学びます。[後期](1)知性の働きやその高度な形である料学と、(2)ことばの意味やその理解について、哲学的に考えるための基礎を学びます。

人間科学基礎演習
認知哲学概論Ⅰ
認知哲学概論Ⅱ
論理学Ⅰ

認知哲学演習Ⅰ

3年次

4年次
学生と教員が同じ文献を読み議論しあって、心・知識・言語をめぐる問題を考えます。また、個別の問題をテーマとする講義(他大学教員による集中授業も)を聴き、自分で考える手がかりにします。さらに、コンピュータの原理や論理学を専用ソフトも用いて学び、知性や言語を考える手だてとします。そして、教員による1対1の指導のもと、卒業論文完成を目指します。 認知哲学演習Ⅱ
認知哲学特殊講義
論理学Ⅱ
課題研究Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ

卒業論文のテーマ例

自然主義的な観点からの言語探究/『論理哲学論考』における独我論/「痛み」について/人間の行動における自由と決定/知と善/ドラえもんに心はあるか/一寸先は闇か

メッセージ

大杉 佳弘先生(認識論、C.S. パースの研究)

 たちが生きているこの世界が私たちに感じられ、そして私たちがものごとを考えることができ世界についていくらか知ることができること。日々の生活を送るときに当たり前のこととしてやり過ごすこうしたことを、自分がものごころ着いていることに気づいてふと不思議に思ったことがあると思います。こうした私たち一人一人が生きていることに根ざした根本的な問いを、科学が描いていることが満足できる仕方で答えてくれていないところを見定めて、納得ゆく理解を求めて明晰に問い考え抜くことを、共にしてほしいと思います。

前田 聡(2015年3月卒)

 「そもそも『心』とは一体なんなのか?」「そもそも『科学的である』とはどういうことなのか?」「そもそも・・・」普段私たちが何気なく使っている言葉や思想、それらを一度振り返って考えます。そしてそのような問いに対して自分なりの答えを論理的に導き出します。ここで「哲学」のすべてを説明することは難しいです。しかし、論理的な思考能力を鍛えられることは哲学をするにあたって得られる能力の一つだと言えると思います。

米田 直史(2014年3月卒)

 言葉や「私」という意識など、哲学で問題にされるものについて考えてみると、そのほとんどは、私達に非常に身近で、しかも生きることの根 本に関わるものだという事がわかります。生活に役立つ実践的な知識・技術を習得することも確かに重要ですが、このような普段では当たり前 の事として済まされてしまう事柄について、その「当たり前」に疑問を投げかけ、徹底的に考え抜いてみる事は人間にとって必要なことではな いでしょうか。

 

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